豊穣の祈り

長野県無形民俗文化財 狂 拍 子

舞う子供は元来二人である。中土地区の大草連(この集落の名は昔の焼き畑農業の名残を留めた名称という)という集落総出で長く伝えられ奉仕してきた。この舞には囃子方が大勢いる。笛、太鼓、手拍子(鉄製シンバル)等で心が浮き立つようににぎやかである。演じるのは10歳から12歳ぐらいの子供で毎年新しく訓練しては出してきたのであるが、近年過疎集落となって子供がいなくりなくなり、文化財として小学校の理解を得てなんとか続けて来たが、統合となり地元の小学校が消えたたため、地元小学生とその保護者を中心に保存会を立ち上げ、細々続けている。踊り手は現在男子二組である。舞の装束は頭に束髪をかぶり、緋縮緬の衣装に白絹の股引、白のたすきをかけ 足袋、草履がけ、白の手甲を付け、手には装飾をほどこした棒を持つ。先頭の子は二本を持ち陰を、後の子は一本を持ち陽を表す。囃子に合わせて舞踊る。

前の子が太鼓を打つ間、後の子は頭上で一本の棒を8の字に回し、ころあいを見計らって、横により二本の棒の間に一本の棒を挟む。パットはなれて向きを変え同様の所作をする。そーれ」で始まり、途中、「やらかせ、やらかせ、どっこい」のかけ声とともに、離れては舞い、太鼓を打ち、棒をまた、くるくると回し身軽に小さな子供が真剣に舞う姿は、誠に可愛らしく感じられる。

意味するものは、陰陽合体、豊穣を祈念し、物の増すことを表している。

 

1 太鼓に向かう。前の小さな子は太鼓を打つ構え。後ろの大きい子は右手を挙げ棒を持った手首を傾げる。   前の子  太鼓を@トントン Aトントン BトントントンCトントン トントン トト トトッ  (トン)この とき太鼓を打たずにピョンと飛び太鼓に当たるよう寄る  後ろの子は@のとき くるくるAのときくるくるBのときは回さず頭上で待つ。Cでくるくるくるくるくるくると棒を回し、

 

トン)のときピョンと飛んで前の子に突き当たるように寄り 合体。このとき前の子は後ろの子の棒を挟む。

 

横になって二人は平行してパツと二歩飛んで太鼓から離れる。 前の子は左足を太鼓の方に向け左手も下向きに開き 反対方向に回転しながらパッと太鼓に当たるように寄る。後ろの子も同じように体を開くが、右手の棒を胸のあたりでくるくる回しながら反対方向に向きを変えながら横向きに飛び、二人は反対側に横向きに合体する。このとき棒を挟む。合体を3回繰り返す。

 

パツと二歩飛んで太鼓から離れる。 パット離れ初めの体勢になりに戻る。これを5回繰り返す。

 

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